今日は和モダンレストラン「kakyo」さんに潜入してきたので、その模様をお伝えします。
京都はとても食文化の豊かな場所ではありますが、一方では世界有数の観光地でもあります。
どこの観光地にも言えることですが、「観光客目当て」のコスパのあまりよろしくないお店があるのも事実。
そこで参考にしていただきたいのが、「東三条粟田口」のような地元に住む人間がオススメするお店です(手前味噌ですが)。
筆者(京都東山ウィズ支配人:星)は日本最大級の日本酒メディア「SAKETIMES」のライターでもあり、kakyoさんは実はそちらでも紹介させていただいています。文末にリンクを貼りますので、是非そちらもご覧いただければ幸いです。
その華やかなキャリアは全部書いていくと一つの記事になるほどなので詳しくはSAKETIMESをご参照いただければと思いますが、簡単にご紹介すると、
・日本の複数の名店で長年修行
・フレンチの本場フランスのミシュラン店での修行
を経て、満を持して開店したのがこの「kakyo」さんです。
フランスでは一般の人でも料理とお酒の相性(マリアージュ)を考えるという文化に影響された中上氏はシニアソムリエであり、日本酒の利酒師でもあります。
フレンチにおけるソムリエは一般的ですが、和食の世界では意外とマリアージュを意識しているお店は少ないので、こういったお店はお酒好きにとってとても貴重です。
そういったこともあり「kakyo」のイチオシはペアリング付きコース。
コースに合わせて中上氏が最高の日本酒/ワインを選んで出してくれるコースを今回も頂きましたので、レポートしていきます!
kakyoさんの料理の基本スタイルは「フレンチテイストが入った和食」とでも言える形です。
コース全体をそのコンセプトが貫かれていて、この1品目も然り。和の素材に和のソースですが、そこにフレンチマスタードを配しています。
食欲をそそる、しっかりしつつもさっぱりした最高のスタートとなりました。
「まずはビール」が抜けない筆者はビールを頂きつつ、ペアリングで出していただいたお酒はコチラ
京都・藤岡酒造の「蒼空 純米吟醸」
そのシンプルでおしゃれなボトルのイメージ通りに、飲みやすくスターターに最適な日本酒。洋食にも合わせやすい味わいです。
実は筆者は東京出身です。
東京から京都に来て美味しいものはたくさんありますが、間違いなくその一つに挙げられるのが、「出汁の美味しさ」です。
丁寧に引かれた出汁の味を最大限に味わえる汁物は、まさに京都ならではですが、kakyoさんではさらに、ほのかなフレンチの香りが漂いさらに芳醇なものに仕上がっています。
「いや~京都にきて良かった」
としみじみ思える味だと言えば伝わるでしょうか。
kakyoさんに来る楽しみの一つは、その見た目も美しい魚料理です。
今回は細魚(さより)。意外と知られていなかったりするこの魚ですが、筆者の大好物魚種の一つ。
愛読書である「魚の博物時点」(末広恭雄 著)によると、
「春の魚のうちで最も気品が高く感じられる魚はサヨリである。」
また、同じく愛読書である「将太の寿司」によると、さよりはその美しい見た目に反して悪食で、内臓を傷つけると臭みが出てしまうとても調理が難しい魚だそうです。
当然ですが、kakyoさんでそんな心配は一切無用で、食べるうちに体が綺麗になっていくような爽快感と共に美味しく頂きました。
ここで、次の料理にも合うお酒として出していただいたのはコチラ。
フランスローヌ地方の白ワイン「Domaine des Senechaux Chateuanneuf-du Pape 2015」
ビール→日本酒→白ワインと旅している感じで楽しむことができるのもペアリングコースの魅力。
「ちゃんぽんすると悪酔いする」と良く言われますが、それは質と量の問題で、きちんと選んでもらう分には全く問題ありません。アルコールにあまり強くない場合はその旨を伝えれば、合わせて選んでいたくこともできますのでご安心を。
実は先程のワインがこの一皿への布石になっていて、
「その白ワインが山菜に合うんですよ。」
と。
そんなもんかねぇと思いつつ(失礼な 笑)半信半疑に食べてみると本当でした(笑)
山菜の苦味と、ワインのスパイス感が不思議とめちゃくちゃ合います。こういうマリアージュはちょっと素人ではたどり着けない至福の境地でしょう。
お魚は甘鯛。日本中部以南で穫れる魚であることから西日本で広く愛されている魚ですが、京都では「ぐじ」と呼ばれ、個人的には「京都に来てよかった~」食材に挙げられる美味の一つです。
今回kakyoさんの天ぷらははじめて頂いたのですが、これが抜群に美味しい。
バルサミコ醤油ソースと白ワインの相性もとても良く、ぜひまた頂きたい一皿でした。
魚の天ぷらと肉料理の間をつなぐこういった一皿もkakyoさんに来る楽しみの一つです。
味わいが複雑で素人ではなかなか食レポが出来ないのですが、とにかく美味しいです。
実際に中上氏に伝えた感想も「なんだかわかんないけどめちゃくちゃ旨いです!」でした(笑)。
kakyoさんはもちろん本格的な料理を楽しめるお店ですが、中上氏とスタッフの気さくさもあり、気軽に肩の力を抜いて楽しめるお店であるのも嬉しいところ。
合わせていただいたお酒はコチラ
「新政 No.6」で一躍有名になった新政酒造の「生成(エクリュ) 2019 生酛純米」
生酛は「きもと」と読みますが、簡単に言えば昔ながらの日本酒の製法です。その特徴は「野性味があり、力強い」。つまり料理に負けません。
こういったお酒単体で飲むと、日本酒に不慣れな方にはもしかしたら飲みづらく感じられてしまうかも知れませんが、きちんと料理と合わせていただけば、それは1+1を遥かに超えた味わい=マリアージュが生まれます。
「あぁ、こういうお酒はこうやって飲むと旨いんだな。」
という学びが得られるのもこういったペアリングコースならでは。
お肉料理は黒毛和牛とお野菜のコンビネーション。
お肉はもちろん野菜も一つ一つ手がかけられていて、とても美味しいのがありがたいところ。
信長ネギは京都の隣県である滋賀県で最近注目を浴びているネギのブランドです。
もともと京都ではネギを多用する文化がありますが、いわゆる白ネギはあまりなかった中、織田信長の居城である安土城の麓で栽培が始められたネギです。
丁寧に火入れされた絶品のお肉とお野菜と共に頂くお酒はコチラ
フランスの赤ワイン Couly- Dutheil Les Gravieres Chinon 2018
筆者個人的には、魚には日本酒、肉には赤ワインという好み(ベタですが)があるので、こういった采配はとても嬉しいところ。
普段少食な筆者も珍しく自然と箸が進みます。
フレンチテイストが入ってるとは言えベースが和食のkakyoさん。〆のご飯物も楽しみです。
目の前のストウブで炊き上げてくれるご飯ものは毎回絶品で、今回は特別に鯛と筍の炊き込みご飯にしていただきました。
写真を取りそびれてしまいましたが、これまたとても美味しいお漬物と京都・宇治のほうじ茶と共に頂く炊き込みご飯はコースの締めくくりとして最高です。
本来ならここでデザートに入るはずなのですが、少食の筆者はお腹いっぱいになってしまったために撤退へ・・・(笑)
筆者以外に撤退している人を見たことが無いので、一般的な量を食べられる方であれば女性でも問題ない量なのでご安心ください。
頂くはずだったデザートは「Kakyo あんみつ(いちご白玉、甘酒アイスクリーム、よもぎスポンジ、小豆クリーム)」。これを淹れたてのエチオピアモカコーヒーか宇治の特選玉露か選んで頂くことが出来ます。
写真はデザートの代わりに頂いた知多のハイボール(笑)
いや~今回も大満足のランチになりました。
ゆったりこういった贅沢な食事を楽しむのも京都・岡崎の雰囲気ととてもマッチしていて、幸せな時間を過ごすことが出来ます。
コース内容は季節や食材の状況により変動がありますが、ランチは5,000円、ディナーは10,000円から、またペアリングコースは3,200円から楽しめます。
コース内容はご予約のお電話の際に相談も出来ますので、ぜひ一度足を運んでみてください!
kakyo
住所京都市東山区三条神宮道東入4丁目中之町203Schilf 神宮道1F
TEL075-771-3322
営業時間ランチ 12:00~15:00(L.O.13:30)
ディナー 18:00~22:30(L.O.20:00)
定休日不定休
URL : https://kyoto-kakyo.com/
SAKETIMESで紹介したkakyoさんの記事はコチラ。